職業選択の自由

職業を選択するまでの過程。

今の部署でなければ、もっと長続きしたんだろうか

退職届を提出してから、逆に社内の制度や特色ある取り組みをよく見るようになった。結婚や出産関係の届け出、入社10年目になるともらえるリフレッシュ休暇、海外出張制度、3年目対象のキャリアフォロー面談、結局どれも使うことなかったな…。アイデアソンのための綺麗な部屋、社内のプロジェクトを発表する内覧会、これも「社外常駐だから」「仕事があってねぇ…」とかなんとかで全く関わらなかったな…とか思いながら。

その中に、最近のニュースとして「当社社員が執筆に協力した論文が発表」とあった。北国のとある会場で行われる学会で、弊社の社員が発表するらしい。弊社の親会社が持っている研究所から案件を受注し、共同で研究を進めていた様子だった。ちゃんと先進的なプロジェクトもあるもんだと思った。

発表者の中に、俺の同期の名前があった。

色々なことを考えた。方や入社3年目にして着実に成果を残し、社外で発表するまでに成長した。方や仕事との向き合い方に本気で悩み、結局は退職という結果になった。もっと自分に向いている部署に配属されていれば、あるいはもっと早く希望を伝えていれば、2年半ではなくもっと持ったのかもしれない。

俺の同期入社は約20人いるが、入社から2年半経った現在、退職者はまだ1人しかいない。俺が2人目になってしまった。そういえば、あいつら今頃どうなんだろうな…1年前にあった発表会などの記憶を元に、同期の顔を思い出してみる。

Aさん (男) : さっき出た、学会で発表する予定の同期。俺と同じ修士卒で、入社1年目にして産学連携関係のプロジェクトに配属され、英語の技術論文をいくつも読みつつプロジェクトを進める必要があったらしい。今度の発表はその成果かもしれない。正直言って、英語の山のような論文と向き合うのは俺は大学院で一度経験したことなので、ここだったら大変だったかもしれないがそれなりに成果出していたんじゃないかという思いが捨てきれない。

Kさん (男) : 同期の中で一番「この会社が好き」な感じがする。Aさんと同じ本部のはずで、イチからシステムを作る機会に恵まれたようだ。顧客(スポーツジム)のことをよく知るために実際に入会して要件を考えた、と誇らしげに話していたのを覚えている。ちなみに、俺の異動先としてもっとも有力だったのがこの部署。確かに、俺の部署よりは向いてそうな感じがする。Kさんにとっては「面白い仕事たくさんあるよ」だったそう。

Sさん (男) : 同期の中で唯一、俺と対等に会話する(他の同期は 敬語を使う。 完全に先輩扱い)。サシで酒飲みながら仕事の話を聞いたことがあるが、出てきたのは愚痴ばかり。進路はなかなか希望通りにいかなかったようだ。配属からしばらくはひたすら書類仕事であり、数ヶ月後にCOBOLながらコーディングの仕事を任された時には「ありがとうございます!!」と反応したらしい。正直、ここだったらもっと短命だったろうな…ただ、残業がほとんど無いらしく、そこは魅力的である。

Tさん (男) : 1年前の発表の時点ではあまり印象に残らなかったが、最近別の資料で名前を見て思い出した次第。というのも、端的に言えば 赤字大炎上プロジェクトの火消し に駆り出されたメンバーの一覧にあった。このプロジェクトについて12年目の先輩に聞いてみたところ、客が官公庁か民間企業かの違いはあるが「こことあんま変わんない」とのこと。おお、怖…

Kさん (男) : 一番の苦労人。週に3回は日付が変わってから帰宅する、配属初月に残業時間が100時間を超えた、など噂が尽きない。しかし、そうやってリリースしたサービスがニュースになると、それを同期のLINEで報告するなど、やりがいは感じている様子。ちなみにこの人の部署、俺の上司が毛嫌いしている。曰く「あそこは昔の酷かった頃のウチだ」。

Mさん (男) : 今のところ、2014年度入社組で唯一の退職者。プログラミングが大好き、無駄なことはしたくない、といった雰囲気が一番強かった。しかし配属されたのはテスター部隊。あらあら。結局、1年半も持たずに退職していった。

で、このMさんとは本人の退職後に一度会ったことがある。その後は小さい会社でiOSエンジニアとして働いていたが、しばらくして会社ごと消滅し、今は当時の経験を生かして求職中、とのことだった。結局どこに決まったんだっけか。俺と似て、一定数いるベンチャー志望のエンジニアだったようだ。

うーん、こうして書いてみると、いい環境で若手が活躍している部署の方が少ないな…。20人もいて、よくみんな頑張っているものである。多分、この業界には「SI指向」と「ベンチャー指向」の少なくとも2種類の人間がいて、それぞれ落ち着くべきところに落ち着く力学が働くのではないだろうか。これはまたの機会に考えたい。

タイトルで書いた質問に答えるとすれば、 「YESだが、可能性は低い」 とか 「今の現場は結構マシな方」 といったところか。なーんだ。