職業選択の自由

職業を選択するまでの過程。

転職先に求めるものは、本当に「技術」だろうか

面接対策をしながら、ふと考えた。

自分は面接や面談の場で、口癖のように「技術」という単語を使っている。理系出身としては、もちろん最先端の技術に触れたいし、将来は少しでも技術に貢献するのが夢だという事に今でも変わりはない。

しかし今、転職先に求める条件や、自分を売り込む文句として「技術」は本当にふさわしいのか。

そもそも「技術」って何だ

辞書には「物事を取り扱ったり処理したりする際の方法や手段。また、それを行うわざ。」や「科学の研究成果を生かして人間生活に役立たせる方法。」とある(小学館デジタル大辞泉」より)。当然の定義だ。

さて、「技術」の定義がこれだとすると、転職先に求める条件として「技術のある会社」と言ってしまうのは、今の会社に対してあまりにも失礼、というより物事が見えていない。仕事をして売上がある以上、そこには技術がある。

正直に言うと、今の会社はかなり高度な技術を持っていると思う。複雑な顧客要件をシステムで実現し、外部の関連システムと通信しなければならないという条件下で何十年も稼働させ続けることは、並大抵の努力では不可能だろう。自分が最初のうちは転職を考えなかったのもこのあたりに理由がある。

「技術」と「変化」

自分が転職先に求めるものは「技術」ではない。なぜなら技術はどの会社でも、いつの時代でも持っているからだ。では、自分が求めているものは何か。今の会社の何が不満なのか。

一旦、もう少し直感的になってみる。転職の話をする時、自分の会社の不満としてよく言うのが「古臭い」である。オフィス内の設備がボロいという意味もあるが、それ以上に仕事の進め方が前時代的だ。テストは人力、会議には紙の書類、情報共有はメールと電話、資料はファイルサーバー…俺だってSlackとか使いたいわ。そもそもWi-Fi導入してくれ。

では、なぜこの職場はそれを取り入れないのか。「セキュリティ上の理由(※)」を持ち出すことが多いが、最大の理由は「今までなくてもよかったから」ではないか。Gitを導入しようとした時がそうだった。この職場は「今までにない」ことを嫌う。自分の変えようという挑戦が全てが全て失敗したわけではない(Seleniumの件は意見が通った稀有な例だ)が、総合すると折られた提案の方が多かった。

※俺はこの言い回しが嫌いだ。そんなこと言うならお前がセキュリティ破ってみろと言いたくなる。

「今までにない」ことに次々と挑戦していく環境に身を置きたい、安定的に契約を続けることに尽力するよりも生き残るために様々な変化を繰り返す方がいい…こういう希望を伝えると、必然的にベンチャー企業を紹介される。

大企業大規模システムの維持管理と、中小ベンチャー企業のアプリ開発では「変化を取り入れるかどうか」がひとつの性格の差であると俺は考える。以上のことを一言で表現するとしたら、それは「勇気」であると自分の中で結論付けた。

幸せになる勇気

私は勇気ある企業が好きだ。今までにないモノを作る、持ち前の技術を提案していく、巨人に殴り込みをかける、そういう勇気ある行動が好きだ。そして自分自身、勇気ある人材でありたいと思っている。

一方、今の会社には勇気が無い。長期契約を生き永らえさせることが至上命題だ。自分の提案は顧客の言いなりだ。高い技術も納品してしまえば顧客の所有だ。こういう現実が見えてきたから、自分は会社が好きではなくなった。

面接でアピールすべきことは、持ち前の「技術」より「勇気」ではないか。転職先で使う技術が今の自分に無いのは変えられない。ならば「転職先でも自分を変えて生き延びてやる」という勇気を見せるしかない。

もちろん「勇気」なんて直接言うとドン引きだろうが、それは具体的なエピソードで示せばいい。そう考えると、アピールできる事は意外にある。タイミングさえ間違えなければ、音楽を始めたことや健康を改善したことも、もしかしたら盛り込めるかもしれない。そこは流れだ。

御社には勇気がある。現職には勇気が無い。自分は勇気がある…ということにする。これが転職活動の根底に流れるストーリーだとすると、自分としては納得がいく。1本の軸ができた。あとは、表現方法とタイミングだ。しっかり考えなければ。

ということで、面接行ってきます。