職業選択の自由

職業を選択するまでの過程。

退職届

前回から色々あった。

転職先の内定が決まった。すなわち今の会社の退職も決まった。そして今日、退職届を作った。やはり会社を辞めるとなると、立場が上の人も含め色々な人と関わるわけで、これはこれで疲弊する。でも、もう直ぐ終わることだ。

結果的に、転職エージェントを経由しないで内定先が決まった。事実を恣意的に取り出すと、「書類選考で一度落ちた会社に内定をもらった」ことになる。人生何があるか分かったもんじゃない。ただ一つ言えるのは、転職したいなら 志望する会社の人と直接交流を持つ ことは非常に強力である。他の人の参考になるとすれば。

この結果に至るまで、思えば色々あった。勉強会に行くようになったので、友達は増えた。いつの間にか一緒に花火を見に行く仲にもなった。勉強会に行かなければ出会わなかったであろうお姉さんに片想いもした(振られたけど)。逆に、変な輩に絡まれてネズミ講に片足突っ込みそうになった。決まりそうだった会社に蹴られてむしゃくしゃして テレビをぶっ壊した こともあった。ともかく、「会社辞めたい」となると良くも悪くも色んな人が集まってくる。

しかし、一番印象的だった出来事は、意外に身近なところにあった。実の父親との議論である。彼自身何度も転職を経験し(しかも自分と違い妻も子もある身で)、逆に転職に来た人間を採用する立場から判断した経験もあり、さらに言えば何度か転職に失敗している。そして今、結果的にかなり理想的な仕事をしている。俺とは人生経験が桁違いだし、その言葉にも説得力がある(酒飲んでたけど)。

覚えておけ、 焦る乞食は損をする。 お前が(新卒の)就活生だった時、「焦る乞食」だったから今辞めたいわけだろ。今回もそうなっていないか?


仕事を選ぶ基準は究極的に3つだけだ。 「できる事」「やりたい事」「やるべき事」 のバランスだ。 俺が今のお前くらいの年だった時は悩みはなかった。「やるべき事」しか目の前になかったから。 だが、俺とお前じゃバックグラウンドが違う。お前には「できる事」と「やりたい事」が突き出ている。 だから、お前が仕事を変えたいと思うのも無理はない。俺とお前は違う。

そして、面接に向かう俺に「頑張れ」でも「やめといた方がいいんじゃない…」でもなく、必ず 「楽しんでこい!」 と声を掛ける人だった。「会社辞めたい」と嘆く息子に対してこの言葉が言える父親は、なかなかいないと思う。ある意味で、本当に息子想いな態度かもしれない。

転職に向けての動きはまだまだ続く。新しい職場が理想的かどうか分からないけど、今はもう進むと決めたから進むしかない。その中で、父親含め周囲の人はある意味で冷静な視点をくれる。明日からさらに頑張らねば。

なぜ生きる

Twitterにも何度か書いたが、手っ取り早く達成感を得るにはブログが一番だ。つまり俺がブログを書いているということは、何かしら達成する必要があると感じているということだ。それは勉強会の場であったり、遊び呆けていた週末であったりする。今回に関しては、面接の直前だからだ。

転職活動を初めてもうすぐ2ヶ月近くである。案外早いものだ。ほぼ全ての面接に落ちているが、これだけ続けていれば少なからず得られた知見がある。面接に落ちたとしてもだ。(大事な事なので2度言いましたよ)

大体の面接で共通しているのが、志望者の具体的な技術というより、何というか、「哲学」のようなものを見ようとしている。要するに、その会社の所属する業界や扱っているサービス、それを実現する技術、あるいはその会社自身について、また将来の自分自身について、「どういう意見を持っているか」が問われる。そして、面接の合否は意見が合う/合わないかどうかの判断の結果であり、決して優劣でない。…よね?でなければ俺鬱になっちゃうよ?

「意見を持つ」ことは意外に難しい。まず、対象について深く考えなければならない。そして判断を下さなければならない。その判断が「意見」だ。よく聞かれる質問には前もって真剣に考えておく必要がある。時には全く用意のなかった対象について「意見」を求められることもあるので、素早く考えて判断を下す思考力と、その間の場をつなぐテクニックが求められる。

で?俺は将来何になりたいんだ?

せいぜい数年しか在籍しない学校の入試では全く問われない。新卒就活の時も意外に聞かれなかった。仕事に追われていると考える機会がない。しかし、今の面接ではこれが核心となる。3年後、10年後、あるいは50歳になった時…遥か先のことではあるが、その時は確実に訪れる。正直言ってうすぼんやりとしか思い浮かばないが、無理にでも判断を下さなければならない。それが「意見を持つ」ということだ。

まあ、やっぱり起業はしたいよね。人の言うことに従うより、自分のペースで自由に働きたい。そんなうすぼんやりした理由。しかし、こんな「逃げ」の姿勢では面接は絶対通らない。俺だってそんな人雇いたくない。そこで、今までの面接で実際によく使っている手が「時代の変化についていきたい」という意見である。今の職場を辞めたい理由とも整合性がある。

俺は特に新しモノ好きだ。流行を追いかけたい性格だ。開発手法にしたってAPIにしたって、IT業界であれば毎日のように新しい便利な機能が登場している。そういう新品を実際に使ってみたい。しかし、今の会社では人生の大部分を占める仕事の時間において、使うことは叶わず眺めることしかできない。なので、そういった新品が使える環境に行きたい、ということを正直に話す。

さらに、将来の目標を聞かれたら、今度は自分が新品を提供する側に行きたい、と言う。そして、3年後はそのための準備期間であり、今まで遅れた分を取り戻す。そういった機能は実際、転職に必要だから勉強を始めた側面はあるが、やはり興味深いなと思う。根気さえあれば。あとは、こういった内容を、いい雰囲気で言う必要がある。「自分の成長のため」を強調しすぎると、じゃあ会社のためには動いてくれないの?となるため、「お互いの目標に貢献する」という展開にしたいところだ。

さて、面接では大体こういうことを話すが、実際10年後はどうなっているんだろうか。ねこばば、36歳。どこの会社にいるのか、毎日何を考えて生きているのか。さらに後、70歳になったら。定年退職してしまうのか、役員のイスに座っているのか、はたまたどこかの荒野を放浪しているのか。結婚しているのか、相手すら見つからないのか。

人生は計画通りにはいかない。しかし向かうべき理想を考えることは必要だ。

アルフレッド・アドラーさんが言うには、「人生は別れの連続だ」という。別れのない出会いはない。人は必ず死ぬからだ。そして、理想の人生を歩むためには「最高の別れのために何ができるか考えよ」とのことである。会社で働いて、しかもさっき書いたような自分の成長と、会社のプロジェクトへの貢献ができれば、まあ「ここでよかった」と思えるのかな。

面接行ってくる。

「特急もくもく」を主催して分かった3つのこと

どことなく体がだるい。

ここ数日毎晩9時間ぐらい寝てるのに、まだ足りない気がする。

勉強とか趣味とか、好きだったことにやる気が向かない。

ああそうか、これ5月病か…

ま、幸い仕事がつらいってほどでは無いし(面倒ではあるが)、職場でのストレスもそんなに大きくない。連休明けで何が一番つらいかって言ったら朝6時半に起きる必要があることくらいだ。詳しくは後日書くが、その仕事もあと数ヶ月で去ることがほぼ確定している。連休明けから数日はしんどいだろうが、少しの辛抱だ。

さて、自分の今年の連休は、そんなに遠くには行かなかったがそれなりに充実していた。かの有名なあしかがフラワーパークにも行けて非常に満足だ。そして個人的に新鮮だったのが、4月30日に開催した「特急もくもく」だ。いや、開催といいつつただの日帰りツアーだが、主催という立場から学ぶべきことがそれなりにあったので書き留めておく。

周辺事情に詳しくないとできない

今回会場に選んだ秩父羊山公園芝桜の丘、および西武線の日帰り旅行は、ここ10年近く毎年この時期に繰り返している定番行事だった。ただ、毎回一人で行くか、連れて行くとしても両親くらいだったので、そろそろ誰かと一緒に行きたいなーと思ったのが事の発端である。試しにConnpassで募集をかけ、常連となっている勉強会で宣伝したところ、5人も参加者が集まったので自信を持って決行した。3000円以上は「勉強会」としては高額な設定だったにも関わらず集まっていただき感謝である。

さて、参加者の皆さんに快適に旅行してもらうためには、事前にイメージを持ってもらうことが重要だと当初から考えていた。お金に関することを始め、「駅から結構歩く」「時間厳守」などの事前注意もした。この辺は実際に行った経験があってこそできる。加えて、そもそも「会場」となる特急列車の座席を用意するのも工夫した。Web予約サービス様様だ。ついでに、「途中の駅から乗車したい」という要望にも柔軟に対応できた。鉄道マニアと秩父ファンの知識が初めて発揮できたと感じた。「下見」いや「事前調査」って大事だと感じた。

リスクは常に存在する

Connpassで募集している勉強会は途中入場途中退出可能なことが当たり前だが、今回は座席を事前に予約する性質上、時間の遅延が絶対に許されなかった。今回最大のリスクが「時間」であった。前日の夜は電車に乗り遅れる夢にうなされたレベルだ。

行きはスムーズだった。そもそも早めに設定していた集合時間より皆さん更に早く集合してくれたので、記念写真を撮る余裕もあったくらいだ。だが、帰りの時間が思ったより遅延してしまい、改札を通ったのが発車5分前という慌てっぷりだった。大きな事故が起きなくて助かったが、乗り遅れのリスクを甘く見ていた結果だ。

あと大事には至らなかったが、忘れ物をしかけた参加者があった。当然主催である自分にも予防責任がある。今思うと重要なヒヤリハットだ。人を動かす時は、責任が伴うし、リスクを予防する義務がある。今回の教訓である。

場の雰囲気作りは工夫が必要

今回、参加者同士は初対面という人もいた。主催としてすべきことは、参加者が快適に過ごせるように工夫することである。終始気まずさが漂ったという結果は避けたい。今回は自分から積極的にコミュニケーションを取ることで、参加者全体が会話しやすい雰囲気を作ることに努めた。

まあ、皆さん気さくな方だったので、行きの電車を降りる頃にはだいぶ打ち解けて和やかな感じであった。エンジニア同士ということで気が合ったとも言える。技術的な質問ができて、本題の「勉強会」としても目的が達成できた人もいたようだ。うまく立ち回ったことで、人と人とのつながりという成果ができた。

ちなみに、今回列車の座席が一部固まっていなかったが、結果として「一人で集中したい人」席として機能していた。これからもそうしよう。

最後に、打ち上げと2次会まで終わって実家の最寄駅を降りた後、一気に疲れと開放感を覚えたことを白状しておく。5人を丸1日動かすのは、今の自分には割とギリギリのスキルが必要だった。責任者って大変だ。でも勉強になった。あら、「勉強会」になっているではないか。

ちなみに次もやってみたいと考えている。江ノ島なんかどうだろう。試しに募集かけるか。

転職先に求めるものは、本当に「技術」だろうか

面接対策をしながら、ふと考えた。

自分は面接や面談の場で、口癖のように「技術」という単語を使っている。理系出身としては、もちろん最先端の技術に触れたいし、将来は少しでも技術に貢献するのが夢だという事に今でも変わりはない。

しかし今、転職先に求める条件や、自分を売り込む文句として「技術」は本当にふさわしいのか。

そもそも「技術」って何だ

辞書には「物事を取り扱ったり処理したりする際の方法や手段。また、それを行うわざ。」や「科学の研究成果を生かして人間生活に役立たせる方法。」とある(小学館デジタル大辞泉」より)。当然の定義だ。

さて、「技術」の定義がこれだとすると、転職先に求める条件として「技術のある会社」と言ってしまうのは、今の会社に対してあまりにも失礼、というより物事が見えていない。仕事をして売上がある以上、そこには技術がある。

正直に言うと、今の会社はかなり高度な技術を持っていると思う。複雑な顧客要件をシステムで実現し、外部の関連システムと通信しなければならないという条件下で何十年も稼働させ続けることは、並大抵の努力では不可能だろう。自分が最初のうちは転職を考えなかったのもこのあたりに理由がある。

「技術」と「変化」

自分が転職先に求めるものは「技術」ではない。なぜなら技術はどの会社でも、いつの時代でも持っているからだ。では、自分が求めているものは何か。今の会社の何が不満なのか。

一旦、もう少し直感的になってみる。転職の話をする時、自分の会社の不満としてよく言うのが「古臭い」である。オフィス内の設備がボロいという意味もあるが、それ以上に仕事の進め方が前時代的だ。テストは人力、会議には紙の書類、情報共有はメールと電話、資料はファイルサーバー…俺だってSlackとか使いたいわ。そもそもWi-Fi導入してくれ。

では、なぜこの職場はそれを取り入れないのか。「セキュリティ上の理由(※)」を持ち出すことが多いが、最大の理由は「今までなくてもよかったから」ではないか。Gitを導入しようとした時がそうだった。この職場は「今までにない」ことを嫌う。自分の変えようという挑戦が全てが全て失敗したわけではない(Seleniumの件は意見が通った稀有な例だ)が、総合すると折られた提案の方が多かった。

※俺はこの言い回しが嫌いだ。そんなこと言うならお前がセキュリティ破ってみろと言いたくなる。

「今までにない」ことに次々と挑戦していく環境に身を置きたい、安定的に契約を続けることに尽力するよりも生き残るために様々な変化を繰り返す方がいい…こういう希望を伝えると、必然的にベンチャー企業を紹介される。

大企業大規模システムの維持管理と、中小ベンチャー企業のアプリ開発では「変化を取り入れるかどうか」がひとつの性格の差であると俺は考える。以上のことを一言で表現するとしたら、それは「勇気」であると自分の中で結論付けた。

幸せになる勇気

私は勇気ある企業が好きだ。今までにないモノを作る、持ち前の技術を提案していく、巨人に殴り込みをかける、そういう勇気ある行動が好きだ。そして自分自身、勇気ある人材でありたいと思っている。

一方、今の会社には勇気が無い。長期契約を生き永らえさせることが至上命題だ。自分の提案は顧客の言いなりだ。高い技術も納品してしまえば顧客の所有だ。こういう現実が見えてきたから、自分は会社が好きではなくなった。

面接でアピールすべきことは、持ち前の「技術」より「勇気」ではないか。転職先で使う技術が今の自分に無いのは変えられない。ならば「転職先でも自分を変えて生き延びてやる」という勇気を見せるしかない。

もちろん「勇気」なんて直接言うとドン引きだろうが、それは具体的なエピソードで示せばいい。そう考えると、アピールできる事は意外にある。タイミングさえ間違えなければ、音楽を始めたことや健康を改善したことも、もしかしたら盛り込めるかもしれない。そこは流れだ。

御社には勇気がある。現職には勇気が無い。自分は勇気がある…ということにする。これが転職活動の根底に流れるストーリーだとすると、自分としては納得がいく。1本の軸ができた。あとは、表現方法とタイミングだ。しっかり考えなければ。

ということで、面接行ってきます。

就職活動と転職活動のココが違う3つのポイント

「面接なんて来なければいいのに」

と、何度思ったことか。

「月曜日なんて来なければいいのに」

と、どちらが多いか。

このブログでは「転職活動」をテーマに今までの行動や具体的な質問を振り返ってきたが、この時点でどうしても自分の心理について吐露しておきたい。そもそもこのブログは、140文字では収まらない転職活動へ思うところを吐き出して精神の安定を保つ目的で始めた。いつかテーマにしようとは思っていたことだが、大きな転機になるであろう面接を控えたこのタイミングで一旦整理をつけておきたくなった。

転職活動は今まで経験したことのない戦いだと、体験してみて改めて感じた。就職先を探すという意味では学生の就職活動と共通する要素もあるが、基本となる軸が大きく違う。そこが転職活動の最も辛い部分である。今回は自分自身への反省と今後の誰かに向けて、新卒の就職活動と社会人の転職活動の違いをポイントを絞って述べていく。

基本的に「隠し事」である

就職活動中の学生には同級生という仲間がいる。「土曜日なのに合同説明会か〜」「今度◯◯の面接なんだ!」「エントリーシート適当に書いたら通ったwwww」など他愛もない会話ができる仲間がいる。

しかし転職活動はその時の勤務先には秘密にしておかなければならない。「こいつは辞めようとしている」とでも思われたら仕事に支障をきたすどころではない悪影響がある。面接に向かう際も、本当の理由を伏せて定時退社したり有給休暇を取ったりしなければならない。ちなみに俺は独身であることを利用して、仲のいい女性との約束がある風を装うことがたまにある(当然ながらそんな人はいない)。

時間換算で半分以上を過ごす職場において、致命的な隠し事がある。この状況は少なからずストレスである。これに耐えられるかがまず第一の関門である。

開始時期を決めるところから戦略である

経団連が発表する採用活動開始時期が度々話題になるが、これはある意味で「いつ就職活動を始めればよいか」を考えなくて済むようになる優秀な仕組みである。学生側は定期テストや受験と同じ感覚で就職活動を始められる(※)し、採用側もある程度どんな学生がくるか予測できるので、就職先マッチングという意味では一定の成功を収めていると考える。

しかし、転職活動には当然ながらそれがない。会社に長くいた経験がかえって不利に働くこともある。かといって若くして準備期間が長ければ通りやすくはならない。要するに正解などない。重要となるのが、今の自分の条件を冷静に判断する分析力、それを考慮して転職先を見極める洞察力、そしてそれに役立つ情報を持ち自分の味方となる人を見つけるコミュニケーション能力である。いつ、何をして、何を以って、どのように、どこを志望するか。すべてが戦略である。

※こう書くと「仕事と進学は全然別だ」とお叱りを受けるかもしれない。しかし、「いつ」「何を」すべきか固定しているという点で、就活は転職活動より受験に近い存在だと今の自分なら判断する。

即戦力しか求められていない

「即戦力」なんて就活業界でも聞き飽きた単語だが、なんだかんだいって新卒を取る会社は教育を施す余裕がある。自分の会社は入社から3ヶ月は新人研修期間だった。これで最低限のJavaだったりSQLだったりプロマネだったりの知識を叩き込んでから現場に送り出すわけである。そして現場に送られてからも先輩や上司のフォロー制度が基本的にある。

それに対して、特に自分が志望しているITベンチャーは、面接からして「いかに技術を持っているか」が最優先で問われる。入社してからの教育制度は知る由もないが、面接で話を聞く限りは「現場のソースコードを触れさせる」もしくは「退勤後に自習する」が大部分だ。研修というのは大企業用語なのかもしれない。

ただ、その会社で主に使っている技術の経験が浅くても、それまでの活動を評価してくれる会社も中にはある。根本的に違うのは、「教えてもらう」か「学びにいく」か。自分が今までしたこと、持っている知識を主張することで、いかに「素早く役に立てるか」アピールするのが面接における最大の戦略かもしれない。

おわりに

仕事が忙しく気分が落ち込んでいた頃は、「なんでこんな会社入ったんだろう」と後悔しかしなかったもんだ。しかし、面接を通じてある程度アピールできる鉄板ネタを持っていることに気づき、案外遅すぎなかったのかもと思えるようになってきた。いろんな意味で、自分の今までを反省する機会になったはずだ。

ま、何を言っても朝が来れば仕事に行くし、明後日は有給取って面接に行く。転職活動もまた、気持ちの切り替えが大事である。

個人用メモ: 面接対策

2次面接の日程が決まった。泣いても笑ってもこれで最後だという。しかも2時間を予定されている。面接まではまだ数日あるが、今から緊張で体の不調を感じるほどだ。この俺がこんな緊張することがあるとは。会社で先輩と話す時もLTで大勢の前で話す時も図太かった俺が。

少しでも安心するため、エージェントの方から教えて貰った想定質問集の回答を箇条書きで用意してみる。多分コピペだろうが、中には実際に用意しておいたほうがいいと感じたものも多かったので回答した。技術的な知識を確認する質問や相手のサービスそのものに関する質問は調べながら書いたため、結構時間がかかった。勉強会のネタとしては意外にふさわしかったのではないか。(土曜のもくもく会を利用して記事を書いた)

一部、内容が重複していたり、相手の企業名が直接書いてあったりしたので、そこは編集した。また、「退職してから何をしていたか」など明らかに条件に該当しない質問も削除した。

  • 志望動機
    • エンジニアとしてプログラムに触れる機会を増やす
    • Rails, JavaScriptなどの最新技術を勉強できそう
    • 自分のエンジニアとしての価値を試したい
  • 転職理由
    • 今の会社での業務が書類作成や打ち合わせの実施に時間を取られコーディングをあまりせず、また今後人員や費用の調整が多くなってくるためエンジニアとしてのキャリアに不安を感じた
    • プログラムを変更するのに顧客の承認が必要であったり、付随するドキュメントが数多く必要であったり、またテスト作業を人手で行うべきというプロジェクトの方針に不自由さを感じた
  • やりたいこと
    • プログラマとして機能の開発や改善に携わりたい
    • 最新技術を勉強したい
    • タスク管理や雰囲気作りなど、マネジメントの方向でも貢献したい
  • 周りから自分のここが認めらなかったと思うこと
    • プログラムの改善提案をしても、テストが大変になるだったり承認が必須だったり機能に不足はないだったりで却下されることが多々あった
    • そもそもプログラムを作る機会が少なく、今まで勉強してきたコンピュータサイエンスの知識を全体的に活かせていない
  • 周りから自分のここが認められたと思うこと ※3:7 位で技術:エンジニアとしての心構えみたいなやりとりが多いです。
    • 文章作成やプレゼンテーションはおおむね高評価
    • ログやDBの分析調査など計算が必要なシーンで、正確かつ早く結果を出した
    • スクラムの手法を用いてタスクを整理し、メンバーが安心して仕事に取り組めるようにした
  • チームで仕事をしている時に気をつけていることはなにか。
    • 情報を体系的に整理し、共有する。チーム内WikiRedmineなどのツール、ボードと付箋を使ったアナログな手法を使い分ける
    • タスクのインプットとアウトプットを明確にする。手戻りが少なく効率的な仕事ができる
  • HTTPリクエストから、HTTPレスポンスを返すまでに行われるコンピュータの仕組みについて、話してください。
    • ネットワークに接続しているサーバーコンピュータにHTTPリクエストが到達し、サーバー上で常時動作しているApache Web Serverなどのサーバーソフトウェアが受信する。それを同じくサーバー上で動作しているTomcatなどのWebアプリケーションサーバーに送信し、Tomcat内で動作しているアプリケーションが時にさらに他のサーバーと通信しながらレスポンスデータを計算する。最後にTomcatからApache Web Serverにデータが送信され、ApacheはHTTPレスポンスを返却する。
    • (こんな感じでいいのかな…というか聞かれるんだろうか)
  • 分散システムを構築するにあたり、注意することはなにか。
    • 分散コンピューティング、という認識か?
    • 多数の端末を介するため、セキュリティ面で脆弱になりやすい
    • 分散・集計処理に時間がかかり、却って性能が落ちる可能性がある
  • sessionの保存の仕方と役割
    • ブラウザにCookieを用いて保存する手法が一般的
    • 本来ステートレスであるHTTP通信に保存できる情報を付加することができる
    • セキュリティ上問題ない場合は、リクエストURLパラメータに含めることもある
  • DBのインデックスの設定の仕方
    • create table (インデックス名 型 primary key, …)
    • ALTER TABLE table_name ADD [ CONSTRAINT primary_key_name ] PRIMARY KEY (col_name, colname2 ..) ;
    • って感じかなあ、聞かれるかどうか分からんが
  • どんな開発に携わってきたか?
    • 官公庁向け業務システム。数多くのサブシステムを担当しているが、その一つにStruts / Springを使ったWebアプリケーションがある。3月のリプレースでは機能を維持したまま全画面を開発しなおす案件に携わった。
    • その他のサブシステムは、外部システムと特定のインターフェイスに従って連携を取り、リクエストを処理する。法的に重要な情報を取り扱うため、順序性や厳密性が求められる。
    • その他、内部で使うスクリプトやマクロなど
    • テスト工程ではSeleniumの導入をリードした
  • 開発はどれくらい出来るのか?
    • Railsを使ったシンプルなアプリなら3時間程度でリリースできる(面白いかどうかは別として)
    • どれくらいっていうのは、例えば?
  • rails を使った時に困った事は?
    • 割と「暗黙の了解」が多い。メンバを定義したらそれを呼び出すメソッドも自動で定義されたり、そのメソッド命名規則を覚えておく必要がある
    • Eclipseの変数ジャンプやドキュメント自動参照などの機能は気に入っていたが、今使っているAtomにはそれがないので、検索する必要が多くなる
  • 最近どんな技術を勉強しているか?
    • Ruby on Railsを休日や業務後の時間を利用して勉強を進めている。
    • 競技プログラミングサイトで数学問題をRubyで解くことで、Rubyの文法と数学のスキルを勉強しなおす
  • 何かフレームワークを使った事があるか?
    • Struts2 (業務経験あり)
    • Ruby on Rails (趣味)
    • Django (学生の頃のアルバイト。求人票を見る限り、意外に採用している企業は多いようだ)
  • 弊社サービスの改善点(ちゃんと使い込んでないと回答できない)
    • これ一番難しいな…基本BtoBのソフトなんで使えない(その辺は面接官も事情を酌んでくれるはず)
    • サーバーは既存のクラウドサービスを使っているとのことだが、「セキュリティ上の理由」を持ち出してそれを嫌うウチみたいな企業も多い。しかし会計業務の煩雑さはそういった企業組織でも感じているはず。セキュリティの安全性をアピールする、機能を追加する、構築サービスを設けるなど、そういった顧客にも売りこめないか?
    • 顧客となりうる企業の既存データはExcelに記録されていることが多い。初期設定としてExcelからアプリにデータを流し込む設定はあるか
  • チームの人数が増えてきた時にどんな工夫をして上手く回すか?
    • スクラムの手法を活用する。ストーリー・タスクを定義し決められたスプリントで消化するために検討を重ねる
    • 人数が多い時はチームを分割(4〜7人)する。チーム間の干渉は多ければいいというものでもない
    • 当日の割り込み作業が発生しないよう交渉する。期日と目標を聞き出し、日中の依頼はなるべく翌日に回せないか交渉する
  • 小さなチームの集まりで開発を進める際のメリット・デメリットは何だと思いますか?
    • メリット
      • タスクの管理がしやすい
      • チームの合意が早いため開発のスピードも速い
      • メンバーの個性を生かして、各自のみでは作り出せないサービスをチームとして開発できる
    • デメリット
      • 量が多い問題に対しては不向き
      • 新しいメンバーに対する教育が不十分になりがち
      • 事故でメンバーが欠員する時のリスクが大きい

こんな感じか。面接の準備にブログを使うとは当初の予想になかったが、なかなか効果ありそうだ。あとは冷静に挑むのみ。

面接3社目: 今まで何をしてきたの?

1社目、2社目をすっ飛ばして3社目の面接を書いたのには理由がある。記憶が新鮮なうちに記事にしておきたかったのと、結果からして今後に最も残りそうな内容だからだ。

  • 3社目: F社
  • 金融システムを扱うWeb系ベンチャー企業
  • 結果: 合格

三度目の正直である。この日から「面接全敗」状態から脱したわけだ。今の会社での残り勤務期間が、一気に短く感じた。

この日は色々と好条件が重なった。まず会社は運良く有給休暇が取れたため、ゆっくり体を休めることができた。さらに直前にエージェントの面談を受けられたので、現状の悩みや面接のコツまで相談できた。「今後F社の面接なんです」とも正直に言った(「採用ハードルが高い」とのいらん情報もあったが…)。面接に至るまで(向かう電車の中)ほぼ瞑想状態でイメージトレーニングできた。リラックスして面接に臨むと言葉につまることもなかった。

内容を振り返っていく。

Q. Seleniumの導入実績について詳しく
1問目から具体的な出来事の質問が来た。職務経歴書でも特にアピールしている鉄板ネタなので、導入のきっかけから工夫した点、苦労した点、導入した結果を順を追って説明した。それにしても、最初にこの質問が来るのは予想外だった。

Q. 当社を志望した理由
これはどの会社でも必ず聞かれるため、前もってイメージしておいた内容をスムーズに答えられた。とはいえ、今思うと具体的に質問が来たというより、自然と話題がこの内容に移ったという印象がある。 「会計ソフトという既に強力な競合相手がいる中で、クラウドを使って新しいサービスを提供した点が非常に挑戦的であること、かつ事業を成功させて急成長している点に実力を感じました」みたいな内容を回答。「ありがとうございます」との返事。

Q. スクラムカンバン方式などタスク管理の工夫について詳しく
「そういや経歴書に書いたな」くらいの内容だったので準備がなく、思い出しながら答えた。書籍や研修やネットで基礎知識を身につけたこと、チームの状況に合わせて試行錯誤しながらカスタマイズしたこと、結果としてメンバーが抱えるタスクの均一化につながったこと、などと回答。この面接官、経歴書をかなり重視している。「いいですね〜」と好意的な反応が返ってきたので、結構アピールできたと思う。

Q. こちらに聞いておきたいことは
これはもういつもの内容である。

  • 「技術以外に働きやすさや雰囲気作りで取り組んでいることは」
  • →自由な雰囲気作り、メンバー間のコミュニケーションなど
  • 「入社してからのフォロー制度や、少なくともお互い教え合っていく土壌はあるか」
  • →技術は共有するもので、会話や社内SNSでの交流は盛ん。また、勤務時間外で自習する余裕もある
  • 「今の会社だとだんだんマネジメントにシフトしていくキャリアパスとなっているが、ここは希望すれば長くコードを書いていられるか」
  • →プログラミングよりマネジメントを主に担当する立場の社員はいるが、それを希望しない人に無理にやらせることはない

大体この程度質問すれば内容的にも時間的にもいい感じになる。

面接官はいい雰囲気の人で、終始笑顔であった。面接というより、会話の中から相手を引き出す印象があった。また、最初の質問のチョイスからして「今の会社で具体的にどういう実績を積んだか」を最も重視しているようだった。最後には軽く雑談を挟みながら会場を去った。 あとで調べたことだが、この会社は「様々な背景を持つ人が集まって価値を作り出す」ことに重きを置いているようだ。そのため、中には入社時点でプログラミングの経験がほとんどなかった人もいるという。その分、その人には強力なバックグラウンドがあり、入社してから急成長した「伝説の社員」でもある。

返事は意外に早く、翌日夜に合格と二次面接の連絡が来た。転職活動始まって以来の快挙だ、個人的に。具体的な知識より、その人の軸にしている意思、及びそれが具体化したエピソードを重視する採用方針が、自分のストーリーとうまく重なったのだろう。 会社でメールを受け取ったが、その瞬間に社内の景色が違って見えた。確かに、内定通知ではない以上まだまだ油断はできない。しかし、これはもうすぐ、過去の物になる。